日本語の中でも特に厄介なのが漢字です。読み書きの基本は平仮名とカタカナではありますが、日常生活の中では漢字がとても多いです。そのため、漢字が読み書き出来なければ日常生活を不自由なく過ごす事は出来ませんので、日本語教師としては漢字の教え方はとても大切になります。

ですが、漢字に関してはとにかく「読めるようにする」事が大切です。よくよく考えてみてください。我々も日常生活に於いて漢字を書く機会というのはそうそうないのではないでしょうか。

自分の名前や住所等を記入するケースは多々あるかもしれませんが、作文する機会や様々な漢字を混ぜた文章を作成する機会はめったに無いはずです。

「教育」という観点から、どうしても「読み書き」が大切だと思ってしまう部分もあるのですが、日本語学校に通っている外国人生徒に教えてあげなければならない事は、書けるようにするのではなく、読めるようにしてあげる事なのです。

書けるようになった所で、先にもお話ししたように機会そのものは滅多にないのです。それよりも圧倒的に機会の多い読む事にこそ注力すべきです。

読めるようになった方が日常生活に支障をきたす事がなくなりますが、日本語教師の中にはついつい漢字を覚えさせようと、書かせて覚える人もいるのですが、書けるようになるよりも読み取りの方が大切ですし、読めるようになれば日常生活を送る際にも不便を減らす事が出来るものです。

例えば看板を見た時、漢字が読めればどのような事なのかを理解する事が出来ますが、決して看板に何かを書く事はありません。書くよりも読む機会の方が圧倒的に多いのです。

もちろん書く事も指導しなければならないケースもあるでしょうが、そのような時は大目に見てあげるというと少々語弊があるかもしれませんが、「書ければ良い」くらいに思ってあげるべきです。

書き順にまでこだわって指導するケースもあるようですが、外国人が漢字を覚える目的は異国語を覚えるためであって、書き順を覚えてテストの成績を上げるためではありません。書き順も大切ですが、外国人の生徒たちはそこまで必要としていません。

言うなれば「実用性」を求めているのです。極論ではありますが、漢字の書き順は解らなくとも日常生活に支障をきたす事はありません。ですから、漢字は読み取りの方が何倍も大切になってくるのです。

特に日本語は平仮名もあればカタカナもあります。それでいて街にはアルファベットもあったりします。いろいろな事を覚えなければならないのですから、漢字の書き順を覚えさせるよりも、もっともっと覚えてもらいたい事は多々あるのです。そもそも、日本人だって書けない漢字の一つや二つはあります。

むしろ一つや二つどころではないはずですし、書き順を正しく把握しているかと言えば、それもまた眉唾ものです。漢字を覚えてもらうのであれば、日本人に教えるように「読み書き」ではなく、「読み」だけでも充分なのです。書くのは先に話したように、自分の住所程度で充分なはずです。